昨今のメディア系スタートアップに関する考察

自分がそういう環境にいるだけかもしれないが、近年「なんとかメディア」と呼称することのできるスタートアップの成果が目立つ。

数年前のmeryやiemoのDeNA社による買収やGunosyの上場、今年の「コンプレックスメディア」と類される「ハゲラボ」運営のゴロー社など、挙げればきりがないほど目立つ。

この「目立つ」という評価はかなり主観的なもので、それ以外の分野が成果を出していないわけもないが、俺は目立つと思う。とにかく目立つ。めっちゃ目立つ。

ということで、なぜ目立っているのかを考える。

インターネットサービスの成長に関して、グロースハック的な文脈で「AAARR」という考え方がある。

これはユーザーの行動を5つのステップに分けるシンプルな枠組みで、「Acquisition(ユーザー獲得)」「Activation(利用開始)」「Retention(継続)」「Referral(紹介)」「Revenue(収益の発生)」で左から右になんとかしてユーザーにたどり着いてもらいたいね、という考え方。

例えば、100人ユーザーを獲得したら、本当に利用を開始するのは10人で、そのうち5人が継続して使ってくれて、1人が紹介して次のユーザーを連れてきてくれ、1人が実際にお金を払う、みたいな感じ。

ここで問題になるのが、そもそも最初の「Acquisition(ユーザー獲得)」がなければそのプロダクトがどんなに良くても次のステップに進む数は確実にゼロだという現実だ。

とりあえず来てくれる人さえいれば、彼らの行動を分析することで次ステップに進んでくれる確率を定量的に分析しつつ高めることが可能だ。

しかし逆に言えば、誰も来てくれなければ次に進めようがない。プロダクトの改善をしようにも、そもそも誰もこない。とりあえずPRを打ってちょっと流入があっても、大した数じゃない上に繰り返し検証ができないので改善のしようがない。なんとなくこれがいいんじゃない、みたいな話しかできない。妄想でプロダクトを改善し、効果が上がらず、資金が減っていくという最悪のパターンにはまる。

ちょっと前まではここら辺の事情は違ったんじゃないかと思う。
いい検索エンジンがない時代やいいソーシャルネットワークサービスがない時代にいいサービスを作れば、使ってくれる人は山のように来たと想像する。

しかし、今のようにあらゆるジャンルで洗練されたサービスが増え、猫も杓子も「サービス作りたいです!」とか言ってる時代にあって、ユーザーが自ら進んで流れ込んでくるようなサービスはどんどん作りにくくなっているんじゃないかと思う(昔も簡単ではなかったはずだが、時間が進むにつれてサービスの数は増えるので相対的に競争率は上昇する)。

また、新規ユーザーを取ってくる方法は主に口コミ、自然検索、ネット広告(検索・SNS・メディアなど)などであるが、実は自然検索からの流入の方がサービスにとっての価値が大きい。費用が発生しないからというのはもちろんだが、効果が何日も繰り返し継続すること、そして「もともと興味がある人」しかやってこないのも良いところ。

最悪の場合でも、自分自身がトラフィックを生むことさえできれば、その先にプロダクトとして特別な価値がなくとも、収益化することもできる。

ということで、冒頭の問題「なんで最近メディア系スタートアップが目立つのか」に対する俺の考えは「それだけ最初のステップ(=ユーザ獲得)に対する競争率が高まっているから」ということ。

まずは話し相手を集め、その人たちに最適な機能なりサービスを付け加えていく。

サイバーエージェントがネット業界で珍しかった「営業力」を武器に事業を広げていったように、今後しばらくはメディアとしての「集客力」を武器に事業を垂直展開していく、という流れが一部で続くのではないかと思っている。