ウォーレン・バフェットを理解する6冊

ウォーレンバフェットは世界で最も有名な投資家の一人で、彼を理解するために代表的な本を6冊読んでみた。

まずは伝記。

1. スノーボール ウォーレンバフェット伝

上中下巻に分かれていてかなりの長編。読むのに四日かかった。バフェットがどんな人に囲まれて生きてきたかが具体的にわかる。

印象的だったのは家庭環境。父親は下院議員で、政治家として人生を歩んだ。バフェットが「内なるスコアカード」と呼んで重視する「他者から影響されない価値観」を強く持った人だった。この考え方は近年流行のアドラー哲学とも通じる。

一方バフェットの母親は正反対で、手に負えないほどヒステリックな人だったらしい。基本的にバフェットも姉たちも母親からはいつも逃げ出したかったほどで、バフェットが若いころなかなか自分に自信を持てない原因になった。

そのせいかバフェットは生涯、基本的に争いを好まず、女性に対しては「まるで母親のように何もかも世話してもらう」のが付き合い方になったそうだ。

バフェットが生きてきた70年間超は近代アメリカ経済史そのものでもあり、身近なところだとネットバブルやリーマンショックなどにも大いに影響を受けたみたいなので、そのへんも照らし合わせて読むと面白い。

続いて、バフェットが師と仰ぎ、割安株投資の体系的な手法を始めて確立したと言われるベンジャミン・グレアムの代表的な2冊。
コロンビア大学とグレアム・ニューマン社で働く中で、直接的な指導も受けた。

2. 賢明なる投資家

3. 証券分析

グレアムの手法は一般的にバリュー投資と言われる。数多ある株式の中から企業の内在的価値に比べて株価が安くなっているものを探しだして買う、というアプローチ。定量的な側面が強く、やり方さえ理解すれば誰でも(理論的には)できるのが特徴。

『証券分析』は証券の分析を学びたい学生を対象として書かれたためかなり専門的な内容である一方、『賢明なる投資家』は似たような内容をより一般的な形に書き直していて、だいぶ読みやすい。

ただ正直両方とも、「割安な時に買う」というシンプルなコンセプトとは裏腹に完全に理解するのは簡単じゃないという印象を受けた。

最後に、3冊ともタイトルが胡散臭すぎて敬遠してしまいそうになるが、グレアムと並んで大きな影響を受けたフィリップ・フィッシャーの3冊。今ならKindle Unlimitedで読める。

4. 株式投資で普通でない利益を得る

5. 株式投資が富への道を導く

6. 投資哲学を作り上げる 保守的な投資家ほどよく眠る

フィッシャーの手法は成長株投資と言われ、その名の通り会社の成長に対して投資をする、という至極まともな考え方。
定量的な議論が多いグレアムと比較すると、フィッシャーはかなり定性的な評価の仕方が多い。

例えば、第1作で当時めちゃめちゃヒットしたという『株式投資で普通でない利益を得る』では、「株について調べるべき15のポイント」として以下を挙げている。

1. 製品やサービスには十分な市場があり、売り上げの大きな伸びが数年以上にわたって期待できるか
2. 経営陣は現在魅力のある製品ラインの成長性が衰えても、引き続き製品開発や製造過程改善を行って、可能なかぎり売り上げを増やしていく決意を持っているか
3. 会社の規模と比較して効率的な研究開発を行っているか
4. 平均以上の販売体制があるか
5. 高い利益率を得ているか
6. 利益率を維持し、向上させるために何をしているか
7. 労使関係は良好か
8. 幹部との良い関係を築いているか
9. 経営を担う人材を育てているか
10. コスト分析と会計管理をきちんと行っているか
11. 同業他社よりも優れている可能性を示唆する業界特有の要素があるか
12. 長期的な利益を見据えているか
13. 近い将来、成長するために株式発行による資金調達をした場合、株主の利益が希薄化されないか
14. 経営陣は好調な時は投資家に会社の状況を饒舌に語るのに、問題が起こったり期待が外れたりすると無口になっていないか
15. 経営陣は本当に誠実か

どれも真っ当すぎてぐうの音も出ない。

ただ「経営を担う人材を育てているか」「経営陣は本当に誠実か」など判断が難しい項目も多く、要するにこれだけことを慎重に考えてから投資しないといけませんよ、ということだと理解した。

グレアムの著作とともに、大事なのは「思考のフレームワーク」を提供するということだ。これは『賢明なる投資家』の冒頭でバフェットも述べている。投資する際のチェックポイントが明快に示されているおかげで、投資家は(ルールに従っている限り)自然と投資対象の精査を強制されることになる。

6冊ともザーッと読み通しただけで、まだきちんと理解できていない部分も多いので、また繰り返し読んでいきたい。