社会を考える切り口の見つけ方

昨日考えていたことの続き。

昨日考えたことをまとめると、以下の4点にまとめられるだろう。

  • 社会とは複雑な構成要素からなる’系’である
  • 社会の多様性は時間とともに増していく
  • 社会はすでに十分複雑であり、すべてを予測することは不可能
  • 予測不可能な事柄に立ち向かうには、事象の切り口が極めて重要

複雑な社会というものに対して自分なりの考えを持つためには、物事を論じるための切り口というものが重要だとわかった。ここから新たに生じる問いは、「どうやって切り口を見つけるのか」である。

まず、そもそも切り口とは何であろうか?それは、まさに「問いを立てること」そのものである。

大前研一氏の著書「企業参謀」に「解決志向的な発問をすることが大事だ」という旨のことが書いてあった。その中であげられていた例は、ある企業の業務改善について考える場合に、やみくもに対策アイデアを列挙するのではなく、「会社に十分な人的リソースが存在するのか?」問いう問いを立てることから始めてみよう、というアプローチだ。

この問いを立てることにより、YesかNoかの一つの結論がつけられるようになる。企業戦略もそうであろうと思われるが、社会などのとらえどころのない無限に複雑な対象について考える際、YesかNoで答えられるような問いを立てる。これがまさに「切り口」そのものだと考える。

問いを立てることが「社会について考える切り口を作る」ことに相当することはわかった。それでは、その問い自体はどのように考え出せばいいのだろうか。

先の例では、「業務フローを改善する」という明確な目的があった。だからこそ、それを解決するような方向性の上で先の発問を考え出すことができたと言える。つまり、まずはテーマありきなのだ。

さて、順番に行ってみよう。まずは考える対象を決める必要がある。この一連のエントリの場合、社会だ。ざっくりしているのでもう少し狭めてスマホ社会としてみよう。つまり、スマホを持っていない人々は対象から除外され、スマホを所持している人たちから構成される社会が対象になる。

次にテーマを決める。何をどうしたいのか、何がスマホ社会において問題なのかを適当に選べばいい。スマホといえばアプリだ。スマホにはチャットアプリや写真を共有したりと極めて生活に密接した楽しみを提供するアプリが多くある。その中で一つのジャンルを選んでみよう。ここでは「購買」をテーマにしてみよう。スマホにおける購買の行く先について。

ざっくりと考えてみると、まずインターネットでものを売り買いするという歴史が一つある。ネットオークションとECサイトで、どちらにもものすごく巨大なサービスと市場がすでにある。スマホもネットと接続する以上、それらのサービスは利用可能だが、スマホで買い物ができるということにはそれ以上の意味がある。どちらかといえば、お手伝いさんに「ちょっとこれとこれ買ってきて」とお願いするような手間に近いと思う。

さて、ここまできたら何らかの問いを立てられるはずだ。ここで重要なのは、問いを立てるというのは考えるための一つの切り口を提供するだけであって、先のテーマを完全に結論づけるアイデアなどでは決してないということだ(そもそも無理)。あくまで、先のテーマに関連した問いを立てることにより、対象への一つの理解が得られるものであれば良い。(ただ、何か解決に少しでも向かうような問いの立て方が望ましい。)

試しにここで立ててみたいのは「スマホによる購買は、分散していくのか、それとも収束していくのか?」という問いだ。

例えば世の中にはソーシャルゲームプラットフォームというものがある。つまり、その上ではゲームしか買えないが、ゲームであればたくさんの種類のものが買える。同じように、ZOZOTOWNは洋服のプラットフォームであり、そこで洗剤を買うことはできない。コンタクトレンズも買えない。

つまり、スマホによる購買が、「洋服用アプリ」「日用製品アプリ」「フリマアプリ」「電子書籍アプリ」「漫画アプリ」というように様々なジャンルに分散していき、それぞれで競争が行われていくのか、それとも今から10年後には洋服も、日用品も、フリマも全部Amazon という一つの巨大なプラットフォーム上で行われるように収束していくのか、という問いだ。

そして、この問いには容易に答えられる。どう考えても前者だ。ユーザーはアプリのアイコンにある特定の課題を解決することを求めている。ソフトウェアとはそもそもそういうものだ。

仮にあらゆることを解決することのできる一つのアプリがあったと仮定しよう。そうすると、その何でもできるアプリの中でどの課題を解決するかを選択する、アプリアイコンに相当するようなもの(ナビゲーションメニューか何か)がどうせ必要になる。

開発リソースやデザインの最適化という観点から行って、それぞれのアプリが特定の課題を解決するように専門家していく方が合理的である。だから、スマートフォン上で行われる購買活動もアプリごとに分散化していく。

以上の議論はあくまでも一つの思考実験である。論理にそれほど確固たる事実の裏付けがあるわけでもない。単に「考える対象を明確にし、テーマを決め、問いを立てる」という常識的な考え方のステップを示したにすぎない。