映画『ブラックスワン』

純粋な少女が大役への不安から自分を失っていく映画。

以下ざっくりとあらすじ。

主演のナタリー・ポートマン(ニナ)はバレエ団に所属する真面目系女子だった。あるとき『白鳥の湖』の主演を務めたいと座長に直談判した際、「君は白鳥は見事に演じるだろうが、黒鳥は演じられない」と言われるも、そのとき座長に無理やりキスされたときに相手の舌を噛んだ、その激情(?)を逆に評価され主演に抜擢される。

しかし、主演への不安から、ニナは徐々に自分を失っていく。

まずは悪い友達リリーと仲良くなり、母親と喧嘩して家を出て、夜通しクラブで遊ぶ。つぶれて、翌日の練習に遅刻。そのときリリーが代役に抜擢されたことを知り、疑心暗鬼になる。そこからはひたすら全てを疑い、病気のようになる。映画は主人公の視点で描かれているので、途中から何がほんとで何が幻覚なのか、観ている方もよくわからなくなる感じ。

ニナの疑心暗鬼は本番初日にピークを迎える。白鳥の役でミスをしてしまい、黒鳥の準備をしているときにリリーが楽屋にいて、口論になりガラスで刺し殺してしまう。死体をなんとか隠し、黒鳥を演じる場面では逆にそれが良い効果を生んで拍手喝采。

ラストの準備のとき、リリーが楽屋に訪れ褒められる。死体を隠したところを見るとなにもない。実は、ガラスで刺したのは自分自信だった。物語のお姫様?のように、最後は自分自身を殺すことになった、的なオチ。

主人公はもともと自傷癖があったり、真面目な反面メンタルが少し不安定、というキャラクターだったようだが、プレッシャーのかかる役どころでは自分自身が大きな壁になってしまう、というのはおそらく誰にでもあること(プレッシャーを感じる場面がある人ならば)なので、共感しやすい部分もあった。

主人公のキャラクターと、バレエの内容をシンクロさせているのが美しいと思う。

あと、ここまで登場人物の数が少ない映画も珍しい気がする。ニナと母親、リリー、座長、ベス、あとは全員ちょい役。会話の場面ですらほとんど他にはない。映画自体も1時間40分とかなり短い部類だろう。

母親の娘に対する過度な愛情も描かれている。過保護に育てられた娘がふとしたときに歯止めを失ってしまう、というわりと典型的っぽいイメージが描かれているのが印象的。この辺じっさいどうなんだろう。男兄弟で育った身としては難しい部分だ。

あと、当時はボディダブル問題(代役のダンサーがエキストラ程度の扱いだった)とかいって結構もめたらしい。この辺、リアルタイムに観てないとほとんどわからない部分だし、定期的に映画館に足を運ぶようにしたいと思った。